「マニュアル」って何だろう?

日本語教師養成講座 ニューヨークアカデミーwww.ny-academy.comで教えている。テキスト「みんなの日本語」から数課を抜粋して、実践練習をしているときのことだ。「先生、文型導入やドリルをどうやるのかを考えるのは大変です。みんなの日本語には、テキストマニュアルがある、と聞きました。マニュアルがあるなら、どうしてそれを早く見せてもらえないのでしょうか。」という質問が出た。

●そう、、、。何か新しいことをするときにマニュアルがあればうまくいくのに!っと思うのは当然だ。例えばマクドナルドのアルバイトを始めるとする。そこにはフライドポテトの揚げ方、包み方、お客さんへの出し方、掃除の仕方、はたまた、クレームに対する答え方、従業員同士のあいさつの仕方、など事細かくマニュアル化されていて、これを暗記し繰り返し練習する。そしてそのマニュアルをマスターした人、(マスターできた人間)が初めてマクドナルドの店員として仕事ができるようになる、という。

●さて、さて。ならばこれを「日本語教師」に当てはめてみよう。テキストのマニュアルを見て、導入、ドリル、応用会話、、、と教案を作り、練習し、授業に臨む。ここまではあの「マクドナルド」とほぼ変わるまい。

●問題は、これからなのだ。マクドナルドに来る客は目的は1つ、ハンバーガーとフライドポテト、コカコーラにコーヒー、、、マクドナルド商品を注文し、お金を払い、食べる。アルバイト氏もマニュアル通りに仕事がはかどる。おっと、あそこの子どもがアイスクリームを落として泣いている、、、。マニュアル番号×××番のとおりに、すぐさまナプキンをもって直行。

●それなら、日本語教師はどうなのだろう。日本語を学ぶ目的はさまざまだろうから、「ハンバーガーを食べに来る」のとは違うだろう。マニュアル通りに教えても、客(学生)の要求もさまざまだろう。ましてこちらが提供したもの(教え方)にすんなりうなずいてくれる者ばかりだろうか。はたまた、同じものを提供しても、あそこでひらがなが書けない学生がいる。こちらで今導入した意味がわからず、文法書を開く学生がいる。昨日は徹夜でインターネットをしてたために居眠りしそうな学生まで加わってアクシデントの連続だ。

うーん、随分と書いちゃったけれども、要は、日本語教師の仕事にはマニュアルだけマスターしておけば、まずはアルバイト程度の仕事はできる、、、というものではないのだ。

 むしろ、日本語教師としてスタートする前に、マニュアルなどに頼らず、ひたすら考えることだ。ひたすら、悩むことだ。そうすることで、相手(学生)の悩みが見えて来る。見えて来ることにより、それに対処する自分なりの方法を次々と編み出せる力がつく。

●そうなってから、初めてマニュアルと開いても、遅くないと思うのだが、、、、。

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<写真はシンガポール、クワンさんのプレゼンテーション一場面>





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